平成19年度の目標は、モミラクトンBの生物活性及び生理作用、作用機作等を明らかにすることであった。そこで、最初に、前年度に単離したモミラクトンBを数種の雑草(水田雑草のヒエを含む)や検定植物(レタス、クレス、アヴェナ)に投与し、雑草や検定植物の発芽や成長に対する生物活性及び生理作用を明らかにした。その結果、モミラクトンBは、イヌビエとコメビエの生長を最も抑制した。1μM以上の濃度でイヌビエとコメビエの生長を有意に抑制し、5μMでそれらの生長を50%抑制した。しかし、イネの生長は、200μMでも抑制しなかった。次に、モミラクトンBをシロイヌナズナに投与し、モミラクトンBのシロイヌナズナに対する生長抑制活性検討した。その結果、3μM以上の濃度でシロイヌナズナ生長を有意に抑制し、10μMで、その生長を50%抑制した。モミラクトンBを10μMシロイヌナズナに投与したとき、シロイヌナズナ植物体のモミラクトンB濃度は10pMであることが、LC/MS/MSにより明らかになった。同分析により、シロイヌナズナはモミラクトンBを生産しないことも確認した。モミラクトンBを投与したシロイヌナズナのタンパク質を抽出し、電気泳動等にかけた。その結果、モミラクトンBにより特異的に誘導される数種のタンパク質(18、20、37KD)が明らかになった。今後はこれらのタンパク質のアミノ酸配列を明らかににて行く。
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