研究概要 |
クリーニング作物として利用し得るマメ科緑肥作物におけるアーバスキュラー菌根菌の生育への関与についてはこれまで報告がほとんどなく,硝酸態窒素が蓄積したハウス土壌のクリーニングにこれらの作物を利用する際に明らかにすべき点である.そこで,クロタラリア,セスバニア(対照としてソルガム)を供試して,異なる硝酸態窒素濃度条件下におけるこれらの作物の生育と窒素吸収の差異を明らかにした.18年度は,先ず,3作物間における硝酸態窒素の反応性の差異を調査した.その結果,C.junceaが高濃度の硝酸態窒素に対して生育抑制程度が低いことが認められた.そこで次に,C.junceaの生育初期の養水分吸収に及ぼすGlomusu aggregatumの接種効果について調査した.窒素施用区として,NaNO_3を0.48g(10N区),3.4g(70N区),5.1g(105N区)を施用する3区を設けた.菌根菌接種区にはG.aggregatumの胞子を含む菌根菌資材18gを播種前に土壌に混合した.出芽率には施肥区および接種の有無による差異は認めらなかったが,出芽直後から105N区では生育の抑制がみられた.生長量は播種後22日目までは窒素施用量が多い区ほど低かったが,22日目以降,いずれの施肥区においても菌根菌接種区が優る傾向がみられた.この傾向は40日目には顕著になり,いずれの施肥区の接種区においても非接種区の中で最大値を示した10N区の値よりも高くなった.菌根菌の感染率は,いずれの施用区においても90%と高かった.現在,植物体のN, P含有量の定量を行うとともに,根の浸透圧調節機能を制御するプロリンや可溶性糖の蓄積量の変化について調査しているところである.
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