クリーニング作物として利用できるクロタラリアについて、硝酸態窒素過剰施肥条件下におけるN、P、K、Naの吸収量を比較したところ、 N、P、Kについては、いずれの施肥区(NaNO_3を0.48g(10N区)、3.4g(70N区)、5.1g(105N区)においても、 Glomus aggregatumの接種によってその吸収量が高まることが示された.また、菌根菌感染率はいずれの区でも高く、内生菌糸で80%、樹脂状体で70%、のう状体で10-20%であった.なお、接種区では蒸散量が著しく高まった.菌根菌の種類による接種効果の差異はソルガムとエンバクで見られ、草丈と葉齢の推移については、ソルガムではG.clarum接種区で最も高い値で推移し、 G. fasciculatum接種区で劣った.一方、エンバクではG.clarideum接種区で高く推移し、 G. fasciculatum接種区で劣る傾向にあった.収穫後の茎葉部が緑肥として利用されるラッカセイで同様の接種試験を行ったところ、滅菌土壌では生育に接種菌種間で差異がみられ、G. clarum、 G. etunicatum接種区で高く、 G.fasciculatum、 G.claroideum接種区で低かった.一方、非滅菌土壌では、 G.clarum 種区で生育がやや優ったものの、接種菌種間で有意な差異は認められず、接種効果には他の土壌微生物が強く影響することが示唆された.クロタラリアとセスバニアについて緑肥すき込み試験を実施したところ、後作物への窒素供給量の種間差異と地下部の貢献度が明らかになった.接種試験の効率化のためには、接種菌株の維持方法の簡略化が必要であった.現在、ミヤコグサ毛状根を用いた維持技術を検討中である.
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