研究概要 |
クリーニング作物として利用し得るマメ科緑肥作物におけるアーバスキュラー菌根菌の生育への関与についてはこれまで報告がなく,硝酸態窒素が蓄積したハウス土壌のクリーニングにこれらの作物を利用する際に明らかにすべき点である.そこで,クロタラリア,セスバニア,ソルガム,エンバクを供試して,異なる硝酸態窒素濃度条件下における生育と窒素吸収の差異を明らかにした.まず,作物間における硝酸態窒素の反応性の差異を調査し,クロタラリアが高濃度の硝酸態窒素に対して生育抑制程度が低いことを認めた.また,Glomus aggregatumの接種効果について調査したところ,接種区で高い乾物生長量を示すことを認めた.N,P,Kの吸収量は接種によって著しく増大した.感染率は,内生菌糸で80%,樹脂状体で70%,のう状体で10-20%程度であった.菌根菌の種類による接種効果の差異はソルガムとエンバクで見られ,草丈と葉齢の推移については,ソルガムではG. clarum接種区で最も高い値で推移し,G. fasciculatum接種区で劣った.収穫後の茎葉部が緑肥として利用されるラッカセイで同様の接種試験を行ったところ,G. clarum,G. etunicatum接種区で高く,G. fasciculatum,G. claroideum接種区で低かったが,接種効果には他の土壌微生物が強く影響することが示唆された.クロタラリアとセスバニアについて緑肥すき込み試験を実施し,後作物への窒素供給量の種間差異と地下部の貢献度を明らかにした.接種試験の効率化のためには,接種菌株の維持方法の簡略化が必要であった.現在,ミヤコグサ毛状根を用いた維持技術を検討中である.
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