研究概要 |
本年度は、これまでに作成した植物モデルをもとに,植物の形状成長を高速に可視化する手法について研究を行った。植物の形状成長を可視化する場合,データが膨大になる傾向がある。個体を構成するポリゴン数は,既存のモデルでも数千から数百万に達しており,モデルの結果を表示して評価などを行う場合,迅速にコンピュータ上に三次元形状を表示する技術が不可欠である。高速表示のためには,多数のポリゴンをまとめて,一つのポリゴンへのテキスチャマッピングで表す手法が最も実用的であるため,この手法の改良を行った。三次元形状の可視化には,可視化されたデータがインターネット上でも公開可能であることなどを考慮して,本年度は,モデルをGoogle社の可視化ソフトウェアであるGoogleEarthで公開できる手法の開発を行った。GoogleEarthで使用している言語であるKML(keyhole Modeling Language)は,景観背景を用意する必要がないことや,描画の詳細レベルを変化させることにより高速に描画を行うグラフィックアルゴリズムを持っているため,本研究で目標とする高速描画が比較的容易に行えた。また,環境の植物の生長に対する影響を組み入れるため,植物形状モデルと物質生産モデルとを一体化のために,統計的モデルを作成してきたが,本年度は,メカニズム的な面を考えた物質生産モデルを組み入れる手法についても開発を行った。また,このような可視化は群落レベルで行えるようにした。現在は,モデルの段階であり,仮想的な条件を与え,パラメータ変化によって,群落の状態や景観がどのように変化しているかのシミュレーションを行った。以上のように,次世代景観シミュレーションシステムとして,非常に有効な手法を開発できた。
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