研究概要 |
1.アイソザイム分析によって同一複合遺伝子型とされた三倍体オニユリを用いてAFLP分析を行ったところ、遺伝的に異なる(クローンでない)個体が含まれていた.AFLP分析は,三倍体オニユリのクローン型を識別する上で有用な手法であることが示唆された. 2.オニユリ40個体およびコオニユリ14個体に対しコルヒチン溶液0.05%,0.1%で倍加処理をおこなったところ,葉肉細胞の一部もしくは全てが四倍体となった個体が11および2個体得られた.これらの個体が分化した葯内には二倍体個体の花粉よりも大きい花粉が多数含まれていた.倍加処理個体から二倍性花粉を選別すれば,異倍数間交配に用いることができる.また,細胞倍加されたオニユリでは,葉腋に分化したムカゴから四倍体オニユリが得られる可能性がある.ムカゴを分化しないコオニユリでは,発芽種子に倍加処理することによって,四倍体獲得をめざす必要がある. 3.三倍体オニユリの有性繁殖能力が二倍体花粉親の種類に関連があるかを再調査するため,三倍体オニユリを種子親に種々の二倍体種を花粉親に用いた交配を行った.その結果,コオニユリ以外の二倍体種を用いた交配では完全種子が得られなかった.しかしながら,着果率は花粉親として用いる二倍体種の系統間で異なったことから,三倍体オニユリの有性繁殖能力は花粉親の遺伝子型の影響を受けることが再び示唆された.
|