研究概要 |
アスパラガス品種の多くは,雌雄混在種である.アスパラガスのアレロパシー活性を品種別に検定するためには,地上部及び地下部のアレロパシー活性について雌雄別に検定しておく必要がある.研究初年目となる18年度は,雌雄別に採取した擬葉のアレロパシー活性を無菌的サンドイッチ法によって評価し,他方,雌雄別に採取した若茎に由来する再分化個体を作出し,それらを用いた無菌的プラントボックス法によって地下部のアレロパシー活性の検出を試みたところ,いずれの場合も検定植物であるレタスの幼根伸長を著しく阻害し,活性が認められたが,その活性の程度に雌雄間差異は認められなかった.これらの知見は,アスパラガス雌雄混在種のアレロパシー活性を,種子由来の実生を被検定植物に用いて検定することが可能であることを意味しており,実生を用いた生物検定法が品種間差異の検出に有効であることを支持しているものと思われる.この考えに基づき6品種について検定を行ったところ,品種間差異が検出された.このことは,改植時に品種の見直しを図ることで減産を回避できる可能性があることを示唆している.すなわち,現行品種を連用するよりもより活性の低い品種に切り替えることで,連作障害を回避または低減できることが期待される. アスパラガスの連作障害が,前作中に生合成され土壌中へ放出されたアレロパシー物質によるものだとする考えを実験系で再現するためには,本研究で行っている生物検定法において検定植物をレタスからアスパラガスに置換する必要がある.現在,検定植物に不定胚を用い,無菌的プラントボックス法を活用して,アスパラガスのアスパラガスによるアレロパシー活性の品種闇ならびに雌雄間の相互作用を確認しており、19年度にこの成果が得られる予定である.
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