研究課題/領域番号 |
18580029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
吉澤 結子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (20269202)
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研究分担者 |
室伏 旭 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (00011916)
桜井 健二 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00315607)
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キーワード | クラブアップル / 生理活性 / 食品 / 育種 / ポリフェノール |
研究概要 |
クラブアップルはバラ科リンゴ属で、その果実は食用とすることが可能であり、ポリフェノールに富んでいるので食品添加物等の利用源として注目されてきたが、まだ有効利用はされていない。そこで、機能性成分に富み食材としての適性を持つ品種の創出を目標として、化学分類学的な知識と手法の応用を試みる。ポリフェノール類は、その生合成経路が比較的良く研究されているので、この経路に関わる酵素系や遺伝配列の情報を整理し、また新規に探索する。一方、クラブアップルの品種間で機能性成分の量を比較し、その生合成酵素系の遺伝子の存在と発現の程度を解析する。このようにして機能性の高い品種を選抜し、これらの化学分類上の情報を総合して、目的とする機能性ポリフェノール成分の多い品種の創成を目的とした。 18年度は、クラブアップル43種の果実エキスの前駆脂肪細胞3T3-L1に対する脂肪蓄積抑制活性と、含有するポリフェノールの種類と量の相関関係を解析し、有効成分であるエピカテキンやプロシアニジンB2、生合成中間体として重要なケルセチンの多い品種を数種類見出すことに成功した。これらの品種は、生理活性物質を効率的に生産する候補として、今後中心的な研究対象と位置付ける。 生合成酵素系の遺伝子解析では、ポリフェノール類生合成上の鍵化合物としてケルセチンに着目した。クラブアップル2品種のゲノムDNAを用いて、ケルセチン合成に関連するFlavonoid3'-hydroxylase(F3'H)遺伝子のホモログをPCR法によって増幅し、クラブアップル由来のF3'H遺伝子の部分配列を決定した。推定アミノ酸による相同性検索を行ったところ、ダイズおよびブドウ由来のF3'H遺伝子と約70%の相同性が見られた。またクラブアップル品種内および品種間でF3'H遺伝子の塩基配列に違いが見られ、偽遺伝子も含めて遺伝子ファミリーの存在が示唆された。
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