研究概要 |
宮古島産のマンゴー品種"Irwin'の完熟果実を20C、13C、10Cのもとで、無処理、ポリエチレン袋(以下ポリエチ袋と略す)内及びエチレン吸着剤塗付のポリエチレン袋(以下エチレン吸着袋と略す)内に置き、その後の成熟、貯蔵性をみた。温度からみると、20Cに比べ13C,さらに10Cにおいてエチレン発生、呼吸共に最も抑えられ、また、減量も有意に少なかった。したがって、低温ほど果肉の軟化が抑えられ、店もちも良かった。10Cにおいても低温障害は認められなかった。一方処理の影響をみると、無処理に比べ特にエチレン吸収袋処理で呼吸、エチレン吸収が最も抑えられ、したがって店もちも最も良かった。実験終了時(店もちの限界)における果実の糖や酸含量には貯蔵温度や処理の影響は認められなかった。同様にミャンマーで主要品種‘Sein Talone'を用いて、現地の外気温34-38Cと13Cでのエチレン吸着袋の影響を見た。34-38Cという高温下でもエチレン吸着袋は果実の呼吸を遅らせ、貯蔵期間を永くできた。さらに、タイの主要品種'Nam Dok Mai'を用い、熟度80%と50%の果実、及び'Nam Dok Mai'の二つの系統‘Gold Sritong'と'Green T4'の果実を用いて、同様の実験を行った。いずれの試験においても、エチレン吸着袋に入れた果実は対照の果実より呼吸、エチレン発生が抑えられ、貯蔵期間は長かった。以上のようにエチレン吸着袋はマンゴーの貯蔵に有効であった。これは果実から発生したエチレンが袋内の吸着剤によって吸着され、正のフィードバックによる果実内のエチレン生成が抑えられたためであると考えられた。‘Irwin'果実を20Cにおき、ACC酸化酵素の活性を測定すると、エチレン発生のピークの前に活性が増加した。
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