研究概要 |
スノキ属野生種のクロマメノキ,ナツハゼおよびシャシャンボの果実について,糖および酸含量,アントシアニン含量,総ポリフェノール含量および抗酸化活性を分析し,栽培種のブルーベリーのそれらの値と比較した.その結果,野生種は栽培種に比べ果実が小さいだけでなく,糖含量が低く,酸含量も高いなど品質的には劣ったが,アントシアニン含量,総ポリフェノール含量および抗酸化活性は比較的高い値を示し,栽培種に比べ機能性が高いことが明らかになった.また,クロマメノキ果実から8種類の既知の化合物と共に,vacciuligins AおよびBという2種の新規化合物を見出した。2種の新規化合物を含むこれら10種の化合物の抗酸化活性(ロダン鉄法とDPPHラジカル消去能測定)を比較したところ,いずれも天然の抗酸化剤であるα-トコフェロールと同程度かそれよりも強い活性を示した.フローサイトメーター(FCM)によりブルーベリー栽培種とスノキ属野生種の核DNA含量を解析したところ,北部および南部ハイブッシュブルーベリーは1品種を除き平均2.52pg/2Cの四倍体,ラビットアイブルーベリーは平均3.85pg/2Cの六倍体であった.一方,在来野生種のシャシャンボ,ギーマ,ナツハゼおよびスノキはほぼ同じ含量で平均1.39pg/2Cの二倍体であり,ウスノキは2.55pg/2Cの四倍体,クロマメノキは3.78pg/2Cの六倍体であった.なお,コケモモは二倍体と推測されるが,核DNA含量が1.19pg/2Cと他の野生種に比べ有意に小さかった. クロマメノキ(六倍体)と‘ブルークロップ'(四倍体)との交雑により得られた4系統の個体は,いずれも五倍体の雑種であったが,自然授粉でも結実が認められ,糖や酸含量,アントシアニン含量および抗酸化活性などは両親のほぼ中間的な値を示した.また,両親とは異なり長い果柄と一対の小葉を有する特徴が認められた.
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