研究概要 |
前年度の研究結果に基づき,ウリ類急性萎凋症(黒点根腐病またはホモプシス根腐病)の発病に関わる機能微生物集団(ギルド)の構成要員と役割の調査を進展させた。ホモプシス根腐病については,千葉県旭市近郊の温室メロン生産地域における発病抑止圃場からホモプシス根腐病菌の生育を抑制する菌群を探索し,単独で抑制作用を示す菌株と複数で抑制作用を示す菌株,合計8菌株(細菌)を選抜した。また,これらの細菌の16SrDNA領域を基に種名を推定し,Burkholderiacepacia等のバイオコントロールエージェント(BCA)として知られている菌の他,これまでBCAとしては未報告のMitsuaria属菌等が見つかった。また,黒点根腐病については,昨年に引き続き本菌の胞子発芽を促進する菌群についての調査を進めた。黒点根腐病が発生している千葉県銚子市近郊のメロン生産地域における土壌から人工培地上で本菌の発芽を誘導する細菌10菌株を分離し,16SrDNA領域を基に種名を推定したところ,昨年発見されたShinorhizobium属菌とMicrobacteritmi属菌の他にAgrobacterium属菌やStenotrophomonas属菌等が新たに見つかった。さらに,ホモプシス根腐病菌及び黒点根腐病菌の菌量とウリ類急性萎凋症発生の関係を明らかにするために,これら2病原菌を定量的に検出できるreal-timePCR用プライマーを構築した。 一方,千葉大学環境健康フィールド科学センターにおけるリンゴ園(沼田市)及びナシ園(柏市)で紋羽病が発生していること,及び紋羽病は多数の果樹産地で被害が報告されていることから,新たに白紋羽病及び紫紋羽病を本研究のモデル病害に加え,その発生抑制に関わる微生物集団(ギルド)の調査を進めた。
|