研究課題/領域番号 |
18580050
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
Taylor DeMar 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (50261772)
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研究分担者 |
鎮西 康雄 三重大学, 医学部, 教授 (60024709)
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キーワード | 卵形成 / マダニ / Ornithodoros moubata / エクジソン / 内分泌的 / ビテロジェニン / エクダイステロイドレセ / レチノイドXレセプター |
研究概要 |
マダニOrnithodoros moubataの雌の産卵には吸血と交尾が必要不可欠である。マダニの産卵においては脱皮ホルモンEcdysteroid(E)が最も重要な制御因子と考えられ、特に卵黄タンパク質前駆体Vitellogenin(Vg)の合成はEに制御されると考えられている。Eが標的遺伝子の転写制御を行うためには、Ereceptor(EcR)とRetinoid X receptor(RXR)と呼ばれる2つの核内受容体が必要である。昆虫種においてVg遺伝子はE/EcR/RXRの複合体により発現誘導されることが分かっており、マダニにおいても同様であると考えられた。マダニの雌は交尾・未交尾雌に関わらず吸血を行う。しかし、実際に高い濃度のVg濃度が検出され、成熟卵が形成されるのは交尾雌のみである。吸血後のE濃度を比較すると、交尾雌でE濃度が著しく上昇したのに対し、未交尾雌では低い濃度でとどまっている。一方でEcR及びRXRに関しては、交尾雌よりも未交尾雌の発現が高かった。この事からVgの大量合成や卵成熟にはEの量が重要であると考えられた。ここから、実際にE/EcR/RXRがVg遺伝子の転写制御を行うことを明らかにするためにVg遺伝子の単離・同定を行った。O. moubataのVg遺伝子の全長を決定したところ、他の節足動物同様に200kDaを超えることが明らかになった。また、その配列は昆虫よりも節足動物に近いことが明らかになった。発現組織は昆虫と同様に脂肪体でVg発現が確認されたほか、中腸における発現を確認した。現在は交尾・未交尾雌におけるVg発現の比較とホルモンによる発現誘導についての実験を行っており、E/EcR/RXRによるVg転写経路を明らかにしたいと考えている。
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