研究課題/領域番号 |
18580053
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
刑部 正博 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50346037)
|
研究分担者 |
野下 浩二 京都大学, 農学研究科, 研究員(COE) (40423008)
森 直樹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30293913)
|
キーワード | 害虫管理 / 二次代謝物質 / チトクロムP450 / β-グルコシルトランスフェラーゼ |
研究概要 |
ミカンハダニ(CRM)はカンキツ類で発育するがクワオオハダニ(MRM)は発育できない。Piperony1 butoxide(PBO;チトクロムP450阻害剤)によりCRMのカンキツでの生存が阻害されるため、カンキツ上でPBOの有無によるCRM体内代謝物の変化を分析した結果、16成分で顕著な差が検出され、13成分についてフラグメント情報を得たが化合物の推定には至らなかった。次に、カンキツ葉メタノール抽出物のジクロロメタン(256倍希釈)および酢酸エチル分画(16倍希釈)の発育への影響を調査した結果、CRMは影響を受けないのに対して、MRMではいずれによっても発育率が低下した。また、ジクロロメタン分画ではPBOによりCRMの発育率が低下したが、酢酸エチル分画では低下しなかったことから、CRMのカンキツでの発育における複数の代謝系の関与が示唆された。 一方、植物二次代謝物に対する対抗適応として、広食性昆虫ハスモンヨトウの解毒機構の多様性に着目している。MBOA(6-methoxy-2-benzoxazolinoe;イネ科植物の防御物質)を与えたハスモンヨトウの糞からN-グルコシル物が同定された。そ嚢、中腸、下唇腺、脂肪体の粗抽出液をMBOAおよびUDP-グルコースとインキュベートすると、中腸および脂肪体抽出液にN-グルコシル化反応が、また中腸組織ではミクロソーム画分に酵素活性が確認され、グルコシルトランスフェラーゼが本反応に関与することが示唆された。さらに、MBOAを含む人工飼料を幼虫に摂食させたところ、血リンパ中のMBOAグルコシドの量は摂食後1時間で最大値を示し、5時間後にはほとんど検出されなくなった。また、糞中にもMBOAおよびその配糖体が確認された。従って、腸管で吸収されたMBOAは中腸もしくは脂肪体で配糖体化された後、糞として排出される代謝経路が明らかになった。
|