アトボシキタドロバチと共生するヤドリコナダニは、ハチがダニを巣へ運ぶためのアカリナリウム(ダニポケット)を持っていることから相利共生者であると考えられてきた。しかし、育房内ではハチ幼虫の体液を吸う寄生者だった。このダニは自然に侵入する頭数のダニが寄生しても、幼虫の死亡率、寄生されたメス成虫の産卵率や営巣成功率に悪影響は認められなかった。このことから片利共生的な寄生が示唆されたが、ハチ幼虫が前蛹~蛹前期という特定の時期に育房に寄生蜂が侵入すると、これを攻撃することがわかった。寄生蜂もダニに反撃し両者は一方が全滅するまで戦うが、寄生蜂が一定の時この勝率はダニ数に依存することがわかった。アトボシキタドロバチよりもダニの出入り口が大きなアカリナリウムを持つアジアキタドロバチのヤドリコナダニの育房侵入数は多いことから、アカリナリウム口の大きさが侵入ダニ数を寄生する可能性が明らかとなった。従って、アカリナリウムは寄生者的ふるまいもするが幼虫をガードする相利共生者のダニを安全に、かつ最適数を育房に運ぶために発達したことが示唆された。
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