研究概要 |
(1)ダイコン子葉のプロトプラストから液胞等を調製して可溶性GGT(ガンマーグルタミルトランスフェラーゼ)活性を検討すると、GGTの大部分が液胞に局在することが判明した。そこでGSHをin vivo蛍光標識法で、アシビシン(GGT阻害剤)の影響を検討したところ、GGTがGSHや抱合体(GSX)の異化に関与していることが示された。(2)ダイコンのヘテロダイマー型GGTをコードすると推定される3種類のcDNA(RsGGT-1,2,3)で形質添加したタバコを得た。RsGGT-1と2で形質転換したタバコでは結合型GGT活性が2.5〜16倍活性が上昇した。可溶型GGTは変化しなかった。しかしRsGGT-3による形質転換体は活性の上昇は全く観察されなかった。(3)シロイヌナズナのGGT(AtGGT1、AtGGT2、AtGGT3)の変異株では正常なmRNAの蓄積が認められなかった。AtGGT1は多くの器官で構成的な発現し、変異株では葉やさやで結合型GGT活性が失われていた。AtGGT2は花やさやで部位特異的に発現がみられ、AtGGT2変異株ではさやにおける可溶型GGT活性が減少していた。従ってAtGGT1は植物体における主要な結合型GGTを、AtGGT2は生殖器官で発現する可溶型GGTをコードしていると結論した。これらの結果とAtGGT3は構成的な発現を示したことから考察すると、AtGGT3は主要な可溶型GGTをコードしていると推定できる。しかしAtGGT3変異株のGGT活性は変化していなかった。AtGGT1が結合型GGTであったことは、ダイコンの精製結合型GGTがモノマーであったことと異なっているが、今後の課題である。RsGGT-1,2,3とAtGGT1,2,3はその配列から考えると対応すると考えられるが、機能や局在性についての対応は認められない。今後の検討を要する。
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