研究概要 |
(1)標的細胞上のレセプターの同定(続き):LukFのN-末端にGSTを融合したGST-LukF作成し、GST結合単体を利用してLukFと相互作用する赤血球におけるラフト上の因子の回収を試みた。その結果、レセプターの候補となり得る複数のタンパク質のバンドを得、現在同定を進めている。一方、第2の成分Hlg2が活性を発現するためには,あらかじめLukFを赤血球に結合させることが必要である。一方、血球膜には結合できるがヘテロダイマーを作れないLukFのS33H、Hlg2のT29Dの変異体を用い、これらを野生型毒素と同様赤血球に作用させたとき、Hlg2T29Dgaラフト画分で検出されることを確認した。以上の結果は、細胞膜上因子に結合した第2の成分であるHlg2は、LukFと直接相互作用することなしに独自にラフトに集合することを示している。従って、Hlg2T29DのN-末端にGSTを融合したGST-Hlg2T29Dを作成してLukFS33Hと共に赤血球に作用させることにより、Hlg2T29Dと複合体を形成する赤血球膜上の因子を取得することができる。現在GST-Hlg2T29Dを取得し、Hlg2レセプターの探索を進めている。 (2)Lukによる白血球のネクロシス様崩壊はLukSのリン酸化を伴う。PVLは白血球の崩壊を引き起こすと共にウサギによる皮膚反応系では激しい炎症を引き起こす。そこでLukS-PVのリン酸化部位換えたミュータント、及びLukSとLukS-PVのキメラミュータントを構築し、それぞれの変異体についてウサギにおける皮膚炎症を指標として活性を検討した。現在、炎症発生に必至な部位の詳細な検討を行うとともに、培養細胞へのネクロシス様崩壊に必須な領域の特定を進めている。
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