研究概要 |
本研究において以下の点を明らかにした。 (1)血球上の2成分性毒素と相互作用する因子の探索:ロイコシジン(Luk)及びγ-ヘモリジン(Hlg)の膜孔が標的細胞膜の脂質ラフト上で形成されることを見いだした。さらにLukSと白血球表層タンパク質MD-2が相互作用することを見いだした。一方赤血球ラフト画分からLukFと相互作用する複数のタンパク質を得た。またLukFと相互作用しないHlg2変異毒素を作成し、Hlg2レセプターを探索中である。 (2)Luk及びPVLと炎症応答の開係の解析:LukS-PVのリン酸化部位換えたミュータント、及びLukSとLukS-PVのキメラミュータントを構築し、変異体についてウサギにおける皮膚炎症を引き起こす領域、培養細胞へのネクロシス様崩壊に必須な領域の特定を行っている。一方、マウス骨髄由来の樹状細胞において、Hlg/Luk各成分がTLR4を介した自然免疫応答の誘導に関与する可能性を見いだした。 (3)黄色ブドウ球菌におけるHlg/Luk遺伝子の発現調節因子の解明:γ-ヘモリジン/ロイコシジン遺伝子の発現にグローバルレギュレーターの一つであるsae系が関与していることを明らかにした。一方、sarA,sigBを欠失すると培養中に大量のPVL型毒素を発現することを見いだしたが、本変異株をはウサギ皮下においては毒素を産生せず、毒素の発現調節にはさらなる因子が必要であることを示した。 (4)皮膚科領域における2成分性毒素(特にPVL)の重要性:日本での臨床分離株において〓、ようなどの壊死性の病巣からのPVL保有株の分離率が高いことを見いだした。また、様々な被験者の様々な部位からPVL保有株分離されることを見いだした。
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