研究課題
PC12細胞において、神経成長因子(NGF)はMAPK経路を活性化するとともに突起伸長などの細胞分化を誘導する。リゾリン脂質であるリゾホスファチジルコリン(LPC)やスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)をNGFと同時に与えたところ、NGFによるMAPKのリン酸化が亢進する現象を見出した。この現象は、1μMという低濃度のリゾリン脂質でも認められた。最初期遺伝子であるc-fos、NGF-IA、NGF-IBなどの発現誘導においてもNGFとLPC、SPCの間で協調的な増強作用が認められた。また、NGFによるPC12細胞の突起伸長応答もLPCやSPCの共存で亢進された。この現象には細胞外Ca^<2+>は必要なかった。種々の阻害剤を用いた検討から、LPC/SPCの作用が特定のシグナル伝達経路を介したものであることが示唆された。上記と併行して、麹菌の持つ唯一の細胞質型ホスホリパーゼA_2遺伝子であるAoplaAに関する解析を行った。蛍光顕微鏡観察でAoPlaA-EGFPがミトコンドリアに局在することが示唆されたことから、細胞分画による検証を行った。また、精製AoPlaAタンパク質のN末端アミノ酸配列の解析を行ったところ、N末端の約70アミノ酸が切断除去されることがわかった。そこで、この部分をEGFPとの融合タンパク質として発現させたところ、ミトコンドリアへの局在が観察され、これがミトコンドリア局在シグナルとして機能することがわかった。現在、AoplaA遺伝子破壊株を取得し、表現型の解析を行っている。
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J. Neurosci. Res. (印刷中(掲載確定))
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