研究課題
【目的と背景】本申請研究は、解糖系におけるNADHの発生源であるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(Gap)を改変し、NADHの発生抑制による酸素要求量への影響を検討することを目的とする。C. glutamicumは2種のGap遺伝子gapA、gapBを有する。我々は転写解析から、gapAは解糖時に、gapBは糖新生時に高発現していること、およびgapAはNAD型、gapBはNADP型のモチーフを有することを報告した。その生理的意義の理解に向け、以下の検討を行った。【方法と結果】野生株およびリジン生産菌ともgapAを破壊するとグルコースでは生育せず、本菌によるグルコース代謝は全てNAD型gapAに依存していると判断された。上記gapA破壊株は酢酸では生育し、gapBが糖新生に関わることが裏付けられた。gapA破壊株を酢酸で培養したgapB発現菌体をグルコース存在下で培養してもグルコースの消費は起こらないことから、gapB酵素は解糖方向の反応を行わないことが示唆された。gapAプロモーター支配下にgapBを発現させたプラスミドをgapA破壊株に導入したが、依然としてグルコースでは生育せず、前述の結果と符号した。gapA破壊株からランダム変異によりグルコースで生育するサプレッサー変異株の誘導を試みた。グルコースでの生育が完全に回復した株は得られなかったが、部分回復株が得られた。これら変異株の生育を更に改善することができれば、NADP型gapBに糖代謝が依存した目的株につながるので、そのような株の取得を引き続き検討する。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Appl. Microbiol. Biotechnol. 75
ページ: 1173-1182