研究概要 |
大腸菌のグルタチオン異化の鍵酵素であるγ-グルタミルトランスペプチダーゼとその古典的な阻害剤であるアザセリンとアシビシンとの共結晶の3次元構造を決定した。その結果、これまで提唱されていた阻害メカニズムでは説明できないことが明らかとなり、新しい阻害メカニズムを提唱した。 一方、以前から得られていたγ-グルタミルシステイン合成酵素(GshA)の脱感作変異株には3つの変異(W100L, A494G, S495F)があったが、そのうちS495Fが脱感作に寄与していることを明らかにし、40mMグルタチオン共存下においてもほとんど活性に影響を受けないことを示した。さらに、gshA遺伝子のイニシエーションコドンをTTGからATGに変えて翻訳が起こりやすくした。また、GshAの表面に局在しタンパク質を不安定化させる4つのCys残基をSerに置き換え、酵素の安定化を図った。 グルタチオン合成にあたり最も不足するCysを培地中から加えると菌の生育が著しく阻害される。そこで、大腸菌自身にCysを大量生産させることを目的としてシステインによりフィードバック阻害を受けるCys合成系の酵素であるセリンアセチルトランスフェラーゼの遺伝子、CysEにM256I変異を導入して脱感作した。培養条件、特にC源S源について検討した。 以上の改良点を総合することにより、大腸菌の培養液上澄に約1mMのグルタチオンを蓄積させることに成功した。
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