研究課題
基盤研究(C)
抗腫瘍性酵素L-メチオニンγ-リアーゼ及びL-レリジンα-オキシダーゼの構造機能解析及び遺伝子クローニング、抗腫瘍効果の検討を行った。近年,Pseudomonas putida由来L-メチオニンγ-リアーゼの立体構造が1.8Åの解像度で完全に解析され、多くの知見を得ることが可能となった。とりわけ、活性中心に存在するシステイン残基に着目し、部位特異的変異導入法を用いて組換え型変異酵素を作製したところ、顕著な活性の低下が認められたことから、本残基が触媒回転に必須であることが示唆された。また、本残基を含む水素結合ネットワークも確認され、その重要性が示唆された。Trichoderma viride由来L-リジンα-オキシダーゼの遺伝子と思われるcDNAを逆転写により獲得し、それより推定されるアミノ酸配列と周知のTrichoderma harzianum由来のL-アミノ酸オキシダーゼのそれとの相同性があることが確認された。本遺伝子を発現ベクターヘクローニングし、本酵素の発現を試みたが活性を検出できなかった。T.virideのゲノム上の本遺伝子周辺領域において、上流に数アミノ酸残基がさらに存在する可能性を示唆する配列を確認した。これは先の本酵素におけるN末解析の結果と符合するものであった。また、この推定配列中にFAD結合に関与すると思われる残基も含まれており、今回組換え型酵素での活性を検出できなかった原因の一つと考えられ、さらなる上流域を含む遺伝子のクローニングが当面の目標である。組換え型酵素L-メチオニンγ-リアーゼとT.virideから精製したL-リジンα-オキシダーゼの抗腫瘍効果をin vitroで検討したところ、両者ともに高い抗腫瘍効果が認められ、正常細胞に対する顕著な毒性は認められなかった。
すべて 2006
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