研究課題/領域番号 |
18580077
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金原 和秀 岡山大学, 資源生物科学研究所, 准教授 (30225122)
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研究分担者 |
河合 富佐子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (60118007)
谷 明生 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教 (00335621)
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キーワード | ナフタレン / 微生物分解 / 好熱性細菌 / 代謝産物 / 生理変化 |
研究概要 |
本研究は、コンポストから単離されたナフタレン/ビフェニル分解好熱性細菌Bacillus sp. JF8株の解析を目的とした。ナフタレン/ビフェニルを分解できる好熱菌は単離された例がなく、分解酵素遺伝子群の進化と分解酵素の耐熱性に新たな知見が見いだされるものと期待される。前年度は、ナフタレン代謝のメタ開裂以降の代謝経路が明らかではないため代謝産物を追跡したが、代謝産物を見出すには至らなかった。そこで、メタ開裂を受ける中間代謝産物である1,2-dihydroxy naphthaleneを基質として生育を調べたところ、ほとんど生育が認められなかった。また、前年度はプロテオミクス解析を試みたが、ナフタレンの有無で明確な違いを見出すことができなかった。そこで代謝系の働きを調べるため、ナフタレン/ビフェニル存在下での微生物の生理活性の変化を、生細胞と死細胞を特異的に染色する蛍光試薬を用いて観察し、代謝系のネットワークが細胞に与える影響を調べた。まず、代謝による細胞増殖の変化を調べたところ、JF8株はビフェニルとナフタレンを唯一の炭素源として生育することができるが、これらの基質を与えると、コロニーの生育速度の低下と、コロニー中の死細胞の増加が観察された。特に、ナフタレンを基質とした場合、コロニー形成初期におけるコロニー中の細胞は、ほとんどが死細胞であった。以上の結果から、JF8株は、これまでナフタレンやビフェニルを分解する中温菌で観察された、基質の分解に伴う生理活性の変化より、強い感受性を示すことが示唆された。これらの結果から、JF8株は、ナフタレンを分解資化するが、それにより生理活性が著しく影響を受け、遺伝子の発現や代謝産物の同定が困難である可能性が考えられた。
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