研究課題
基盤研究(C)
本申請の目的は、強力な過酸化物分解力を持つ食品微生物を開発し、その腸内導入により、腸内過酸化物分解を促進することである。腸内では疎水性のみならず、親水性過酸化物も生成される。従って、腸内に導入される微生物は疎水・親水性の両過酸化物に対し強力な分解力を持つことが必須である。前回の申請(2005)で、強力な過酸化脂質分解活性を持つ乳酸菌を分離した。この乳酸菌の過酸化脂質分解力は安定で強力であるが、親水性過酸化物に対する活性が低い。親水性過酸化物下における生残性から、親水性過酸化物に対する耐性の弱さが明らかになった。本株の親水性過酸化物に対する活性の低さは、耐性能の弱さに起因すると推定される。そこで新たに、疎水・親水性の両過酸化物に対し強力な分解力を持つ菌株の分離を試みた。疎水性過酸化物分解力の高い30株が既に単離されており、親水性過酸化物として過酸化水素を用い、親水性過酸化物分解活性の高い株を選別した。前年度申請実験から、分離源としては、餅麹、バラ麹、パン種、べったら漬け、などの低塩性発酵食品が分離源として有効であることが示唆されている。そこで発酵食品を多数収集して分離源として供するとともに、過酸化脂質濃度とともに、2価鉄濃度を上昇させた強化集積培養用培地を用いて、より強い酸化ストレス条件下での集積と分離を試みた。前分離株を含む計100株から、疎水性のみならず親水性過酸化物を強力に分解する乳酸菌(Pediococcus pentosaceus Be-I)の選別に成功した。新たな分離も進行中である。本年度は、これらの分離乳酸菌群のプロバイオティックスへの応用を目的に,菌学的諸性質(各種糖類資化能、胃酸・腸液耐性能)、さらに疎水・親水性過酸化物分解力機構を検討した。
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