研究課題
基盤研究(C)
乳腺は妊娠を期に、組織の増殖、出産後の乳汁分泌のための分化、ならびに離乳によって引き起こされる退縮のサイクルを繰り返す。泌乳期までの発達段階については、調節に関わる多くの遺伝子産物が同定されているが、退縮期においてはあまり知られていない。マウス乳腺の退縮初期に高発現する遺伝子をスクリーニングし、得られた候補遺伝子についてそれぞれポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による発現確認を行った結果、多数の遺伝子が、泌乳10日目に対し退縮2日後において発現上昇することが新たに明らかとなった。これら遺伝子の翻訳産物が有する役割のひとつとして、一時的に酸化ストレスやバクテリアの感染症等を受けやすくなる退縮期における、乳腺組織の防御が推定された。次に、上記にしたがって同定された遺伝子について、タンパク質レベルでの発現・機能解析を行った。その結果、上述のタンパク質が協同して泌乳期後における乳腺の保護に機能していると考えられた。さらに、泌乳期と退縮期初期の泌乳期と退縮期の乳汁タンパク質のプロテオミクス的比較解析を、乳清タンパク質を中心に詳細に進め、また、併せて乳癌関連タンパク質についての解析も進めた。各種電気泳動法を用いて乳清画分を分離した際に確認された約100ケ所のバンドまたはスポットを網羅的に同定した。その結果、生体防御に関与するタンパク質の量に変化が見られ、自然免疫に関与する因子および抗酸化活性酵素がI2の乳清画分中に多く含まれることがわかった。
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Biochemical Journal 404
ページ: 373-381
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http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/%7emolreg00/cancer.htm