研究概要 |
1.DNAシャッフリングとスクリーニング:DNAシャッフリング法ではなくエラープローンPCRによるランダム変異法に変更した。大腸菌由来アスパラギン酸オキシダーゼと西洋ワサビペルオキシダーゼを組み合わせるL-アスパラギン酸(L-Asp)発色スクリーニング系を確立した。 2.L-Asp生産システムの構築:古細菌由来AspDHとBacfllus subtiflis由来リンゴ酸脱水素酵素(MDH)を共役させることにより、L-リンゴ酸とアンモニアからL-Asp合成の最適条件の検討を行った。 3.MDH遺伝子の取得・大腸菌での発現および酸化的脱アミノ活性の確認:大腸菌、Bacillus subtilis, Anabaena sp.由来のMDH遺伝子を取得し、発現・精製後、L-Aspの酸化的脱アミノ活性の確認を行った。その結果、大腸菌由来のMDHのみに活性が見られ、オキサロ酢酸とアンモニアが化学量論的に生成していることが確認された。 4.分子動力学計算(MOE)によるシミュレーション:MDHの三次元構造情報に基づき、オキサロ酢酸と相互作用するアミノ酸残基の同定を試みた。同定されたアミノ酸残基をさまざまなアミノ酸へ置換し、それぞれの3Dモデルを作成し、対応するアミノ酸との相互作用をMOE分子動力学計算機能(ASEDock2005)により計算し、変異酵素候補(N119A, N119S, A80P, P83V, G84V, D86G, R87G, S222G, V213F, V214F)を設計した。 5.変異酵素の評価:変異酵素を発現・精製後、オキサロ酢酸、L-アスパラギン酸に対する反応特性(Kcat/Km)を評価した。その結果、E215D, E215Rに野生型酵素より強いL-Asp酸化的脱アミノ活性が認められた。しかしながら、これらの酵素には、還元的アミノ化活性は見られなかった。
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