研究課題/領域番号 |
18580096
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
大西 素子 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (00312653)
|
研究分担者 |
永井 和夫 中部大学, 応用生物学部, 教授 (00011974)
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 教授 (20272693)
|
キーワード | プロテインホスファターゼ / 破骨細胞 / 破骨細胞分化因子 / RANKL |
研究概要 |
骨の量と機能は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスによって維持されており、このバランスは様々なサイトカインを介した細胞内外のシグナル伝達系によって厳密に調節されている。申請者らは、これまでに行った破骨細胞の分化誘導機構に対する分子生物学的な解析により、プロテインホスファターゼ2C(PP2C)が破骨細胞分化因子(RANKL)によって活性化されるシグナル伝達経路を抑制することを見出した。そこで本研究では、PP2Cによる破骨細胞分化抑制機構のより詳細な解析を行い、破骨細胞分化におけるPP2Cの生理的な機能について検討を行った。 マウス単球/マクロファージ由来のRAW264細胞は、RANKLを含む培地で培養することにより破骨細胞様の多核細胞に分化することが知られている。そこでこのRAW264細胞にマウスPP2Cβ遺伝子に対するsiRNA発現プラスミドを導入し、RANKL存在下でRAW264細胞を培養したところ、破骨細胞の分化マーカーとして知られる酒石酸耐性酸性ホスファターゼの活性がcontrolに比べて2倍以上増加し、破骨細胞分化が促進することがわかった。また申請者は、PP2Cβ欠損マウスが胎生初期で致死となることを見出したため(Mech Dev., 2007)、PP2Cβ遺伝子ヘテロ欠損マウスの大腿骨及び頚骨から得られた骨髄細胞を破骨細胞に分化誘導し、検討を行った。その結果、9組中8組において野性型の兄弟と比べてPP2Cβヘテロ欠損マウスの破骨細胞分化がより促進することがわかった。以上の結果より、PP2Cβは破骨細胞分化を抑制的に制御する生理的な機能を持つと考えられ、本研究の遂行によって骨代謝の新規制御機構が明らかとなった。これらの成果は、過度な骨破壊によって引き起こされる様々な骨代謝疾患の新規治療標的を提示するという点で、骨粗鬆症や関節リウマチ等の治療に貢献するものである。
|