研究概要 |
本研究ではI型ポリケチド合成酵素(PKS)によって生合成されるversipelostatin (VST)のデオキシ糖生合成遺伝子に着目し、以下の結果を得た。まずは、デオキシ糖生合成の初期段階である、dTDP-D-glucoseから4,6-dideoxy-4-oxo-dTDP-D-glucoseへの反応を触媒するdTDP-D-glucose 4,6-dehydratase (DOH)をコードする遺伝子をPCRによって取得した。次に、VSTのコスミドライブラリーを構築し、DOH遺伝子を含むより長いDNA断片のスクリーニングを試みたところ、DOH遺伝子を含む約30kbのコスミドクローンが取得できたので、続いて塩基配列解析を行った。その結果、17個のORFが含まれ、かつD-glucose-1-phosphateからdTDP-D-glucoseを生成するα-D-glucose 1-phosphate thymidylyltransferaseとDOHをそれぞれコードすると予想される読み取り枠(それぞれorf6、7)が隣接していることが確認できた。さらに、この読み取り枠にはどちらの遺伝子も全長が含まれることが明らかになった。しかしながら、コスミドクローン内にGT遺伝子は確認できず、また他のデオキシ糖生合成遺伝子も確認できなかった。また、取得したDOH遺伝子がデオキシ糖生合成遺伝子であることを証明するために破壊株作製を試みたが、現時点ではまだ取得できていない。そこで次に、アグリコンにデオキシ糖を結合する反応を触媒する酵素であるglycosyltransferase (GT)をコードする遺伝子をPCRによってクローニングした。平成19年度は、このGTとPKS遺伝子を指標にVSTの全生合成遺伝子をクローニングする予定である。
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