研究概要 |
本年度は、生合成研究の一環として、Versipelostatin(VST)類縁体の単離精製・構造決定とそれらの生物活性評価を目的とした。放線菌Streptomyces versipellis 4083-SVS6株の培養上清を酢酸エチルで抽出した後、Sephadex LH20カラムクロマトグラフィーを行うことによって分画した。次に、VSTおよびその類縁体を含むV1画分をさらに、Diaion HP20SS、silica gelおよび逆相分取HPLCカラムクロマトグラフィーを行うことによって、VST(54mg)、およびその類縁体VST1(3mg)、VST2(1mg)、VST3(6.3mg)、VST4(lmg)を得た。各種NMRスペクトルやHR FAB-MSスペクトルの詳細な解析に基づいて、これらの誘導体の構造を同定した。誘導体VST1,2,3,4はいずれも新規化合物で、VSTと同じのアグリコン構造を持っており、それらの糖鎖部分はそれぞれβ-digitoxosyl-(1-4)-β-digitoxosyl、β-digitoxosyl-(1-4)-β-digitoxosyl-(1-4)-β-digitoxosyl、α-oleandrosyl-(1-4)-β-digitoxosyl、α-digitoxosyl-(1-4)-α-oleandrosyl-(1-4)-β-digitoxosylであった。次に、各誘導体のGRP78発現抑制活性を測定したところ、糖鎖部分のα-oleandrosyl-(1-4)-β-digitoxosylの存在がそれらの活性発現に非常に重要であることが示唆された。
|