研究概要 |
本研究は,骨格形成にかかわる炭素原子を全てC-13標識化し,網羅的なテルペノイド研究に応用可能なプローブを組換え酵素を用いた試験管内での酵素的に合成することと,代謝研究の基盤構築を目指す.本年度は研究期間の最終年度であることから,試験管内テルペノイド合成の確立と代謝実験について行った. 1.酢酸ナトリウムを原料として炭素数15のファルネシル二リン酸および同20のゲラニルゲラニル二リン酸の酵素的合成を試験管1本で可能とする技術開発を達成した。すなわち,前年度成功した酢酸からメバロン酸までの4種類の組換え酵素カクテルと,メバロン酸からゲラニルゲラニル二リン酸までの合成に必要な既調製済みの6種類の酵素カクテルを混合して最適反応条件を検討し,収率約26%で酢酸からゲラニルゲラニル二リン酸を試験管1本で合成することに成功した.99.9%標識率の[U-13C_2]AcONaを原料とすると,natural abundanceでの希釈を受けずに標識率が保持されたものが合成できたこともGC-MS等により確認できた. 2.ツツソロイゴケ由来のジテルペン環化酵素を上記の酵素カクテル(10種類の酵素を含むカクテル)に加え,生成物を調べたところ,多機能型のent-カウレン合成酵素であることが分かった.この酵素を用いることにより,11種類の酵素からなるカクテルを調製して完全[13C_<20>]ent-カウレンの合成も可能となった.
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