研究概要 |
1.LPK遺伝子の炭水化物応答性転写因子であるChREBPが転写共役因子のPGC-1αと in vitroで結合することを見出し、この結合がChREBPの7-150および659-760領域とPGC-1αの650-797領域の間で起こることを示した。PGC-1αのこの結合はChREBPのLPK遺伝子プロモーターへの結合を阻害し、ChREBPによるLPK遺伝子の転写活性化を抑制した。さらに、この結合は共免疫沈降法により両因子を強制的に発現させた培養細胞中でも起こることを示した。 2.肝細胞で発現している転写因子のHex も in vitroでChREBPと結合することが示されたが、強制発現させた培養細胞では認められなかったし、レポーターアッセイでも有意な影響は認められなかった。 3.ChREBPの新規結合タンパク質のスクリーニングを2つの方法により行った。1つはGST-ChREBPを作製し、これに結合する特異的なタンパク質を肝臓核抽出物から検索した。もう1つは酵母ツーハイブリドシステムを利用して、肝臓mRNAから検索した。しかしながら、これまでのところ有力な候補となりうるタンパク質の同定には成功していない。 4.ラットChREBP遺伝子のプロモーター領域を含む断片をクローニングし、翻訳開始点上流約900bpの配列を明らかにし、複数の転写開始点を同定した。レポーターアッセイにより-163から-32の間に複数の転写制御領域(Sp結合部位、ステロール調節部位、NF-Y結合部位)があることを見出し、それぞれの領域に細胞内でSp1,SREBP1,NF-Yが結合していることを示した。また、Sp1とNF-Yの間、Sp1とSREBP1の間で、それぞれ相乗効果のあることが認められた。したがって、ChREBP遺伝子の転写制御にはこれらの転写因子間の相乗作用が重要であることが明らかになった。
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