研究概要 |
樹洞とは樹木の幹や枝にキツツキ類や枝折れなどの損傷によって形成された空洞のことであり,様々な動物によって,繁殖・ねぐらなどのために利用される。 本研究ではまず,樹洞内部撮影装置で撮影した画像を用いて,樹洞を利用する動物の確認だけでなく,樹洞の形態的特徴,とくに樹洞の内部容積を算出する方法を考案し,その方法がどの程度の精度を有するものなのかを検証した。その結果,おおまかな内部容積の推定には樹洞内部撮影装置の画像を用いた算出方法は有効であった。この方法を用いれば,樹洞の内部計測と動物の利用実態調査を同時に,しかも短時間で調査を行うことが可能であり,樹洞を利用する動物へのストレスを最低限に抑えることができる。 この方法を用いて,里山のひとつである鶴岡市高館山の落葉広葉樹林と奥山の典型的な日本海型ブナ林である今熊山のブナ成熟林において,調査を行った。高館山の調査では,ケヤキ,コナラ,ブナの3樹種間で樹洞の性質や形成要因は異なり,各形態には大きな差が見られた.そのため,哺乳類や鳥類のほとんどはキツツキ類によって形成されたブナの樹洞を利用するという傾向が認められた。今熊山のブナ成熟林に1haの調査区を設定し,樹洞の資源量調査を行った結果、13個の樹洞が確認された。
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