研究概要 |
樹洞とは樹木の幹や枝にキツツキ類や枝折れなどの損傷によって形成された空洞のことであり,様々な動物によって,繁殖・ねぐらなどのために利用される。 今年度は平成18年度に調査を行った今熊山のブナ成熟林と比較するため,鶴岡市の里山地域のブナニ次林とその周辺の広葉樹二次林で,樹洞資源量の調査を実施した。 ブナ林域の樹洞の形態的特徴は、キツツキにより4m以上の高所に形成された入口で内部容積の小さな樹洞が多いのに対し、雑木林域では根元腐朽などの損傷から根元付近に形成される樹洞が多く、入口や内部容積は大小様々であった。 野生動物の利用は、ムササビ・コウモリ類の哺乳類、シジュウカラ・ヤマガラの鳥類、カマドウマなどの節足動物が確認された。単位面積あたりに確認された樹洞数は、どの調査地においてもブナ林の方が雑木林よりも多かった。 以上のことから、里山におけるブナ林は樹洞を利用する哺乳類や鳥類などの野生動物の生息の場として重要な役割を有していることが推察された。
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