研究概要 |
北海道有林固定成長量測定地の測定テータから樹木の新規加入の解析に適した大然林(個体識別された7-17年の記録があり,期間中に間伐されていない天然林)を選択し,主要10種(トドマツ,ミズナラ,イタヤカエデ,シナノキ,ブナ,ウダイカンバ,エゾマツ,ハリギリ,シラカンバ,ホオノキ)の新規加入速度(haあたり,1年あたりに胸高直径5cm以上たなった個体め本数)を算出した。樹種ごとの新規加入速度を目的変数とし,樹種ごとの期首胸高断面積、森林内全樹種の期首胸高断面積、ササの有無を表すダミー変数を説明変数とする重回帰分析を行った0回帰にあたっては,赤池の情報量基準(AIC)を用いて変数選択を行った。多くの樹種で,森林内全樹種の期首胸高断面積が新規加入速度に対して負の效果を与えており,同種の期首胸高断面積が正の攻效果を与えていることが明らかになった。また,トドマツ、ウダィカンバの期首胸高断面積も正の効果を与えていた。この結果は,樹種別サイズ分布動態モデルの改良時にシミュレニションモデルに組み込む。 樹種ごとにサイズ分布動態をGIS上でシミュレートするプログラムを,GISソフトウエア(ArcGISver.9.1)に組み込まれたプログラミング言語(VBA)によって作成した。このプログラムは,地図上で指定した地点の物理的環境(気象条件、地形条件)を,環境条件を保持するレイヤーから読み込み,森林内の個体間競争の強さなども考慮しつつ樹木個体の成長速度、枯死率を計算する。成長速度、枯死率を便用して樹種ごとにサイズ分布動態をシミュレートする。このソフトウエアは,間伐のシミュレーションもできる。ソフトウエア使用者は,対象森林の物理的環境を数値的に把握していなくても,将来のサイズ分布を予測できる。また,様々な間伐計画を仮想的に実行し最適な計画を選択することができる。
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