研究課題
愛知県瀬戸市に位置する瀬戸国有林の落葉広葉樹二次林において、林床面からの蒸発量の実態と林内の微気象環境の影響を解明するため、自動開閉式のチャンバーを用いた林床面蒸発量と気温、地温、湿度、放射量、風速などの微気象因子の連続観測を実施した。なお、今年度は落葉層が林床面蒸発量に及ぼす影響に着目して解析を進めた。得られた主な研究成果は以下の通りである。1.2年間にわたる林床面蒸発量の連続観測により、日変化と季節変化の特徴を明らかにした。日変化は凸型を示し、おおむね正午頃にピークとなり、夕方に向かって減少する。夜間にも蒸発が発生するが非常に小さい。日量ベースの林床面蒸発量は着葉期に0.42mm、落葉期に0.29mmとなり、前者で大きいことを確認した。2.林床面蒸発量は降雨後の1日目に大きく、2日目以降に減少する傾向が認められたことから、落葉層からの蒸発は降雨後の早い時期に大きな割合を占めるが、時間の経過とともにその影響は弱まることが推察された。3.裸地面からの蒸発量と落葉層のある面からの蒸発量を比較し、裸地面からの蒸発のほうが、落葉層がある面からの蒸発より大きいことが分かり、落葉層の蒸発抑制効果が確認された。落葉層が1.5cmでは蒸発量を約5%抑制し、落葉層が4.0cmになるとさらに大きくなり約19%の抑制が発生した。4.林床面蒸発量と気温、地温、湿度、風速、放射量および含水率の長期観測データ用いて相関分析を行った。その結果、飽差との相関がもっとも高いことから、林床面蒸発量は飽差に強く依存することが明らかになった。
すべて 2007
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中部森林研究 54
ページ: 149-150
Journal of Forest Research 12
ページ: 452-466