研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、FSCやPEFCに代表されるNGO主導型の森林認証スキームと、行政・業界側から提案整備されつつある作業コードの構造や運用方式を比較し、技術的実効性、経済的実行性、制度的実行性等を枠組みとするクロスモデル化により、生産現場での利用-保全面のモニタリング管理システムと評価技術を提案することである。本年度はまずその基礎部分として、現行森林認証スキームと作業コードの評価方式や運用形態について比較検討を行った。現在わが国ではFSC、PEFCの国際的な二認証制度と、SGECという国内型の認証制度が並立した状況が生まれているが、運用方式や審査方法の改善、認証機関の体制整備等により認証スキーム間の格差を縮小しつついずれも社会的認知度を高めて来ている。ただし、評価基準や指標に関する定義や方法の統一性(国内審査基準書)、利害関係者の参画機会や合意形成、審査内容や報告書の公開性、モニタリング対象や精度、管理区域FMUや保全地域のサイト評価、HCVF設定など解決すべき点も多い。他方、生産現場からのSFMへの戦略的対応策として、北米諸州、オセアニア、東南アジア地域の監督官庁や業界団体から、森林管理や収穫作業全般に関わる各種コードが提案されて来ている。事業規模や装備に応じた作業実行の目標設定、達成度の客観的評価、作業システムの可変性などその利点は大きく、森林認証スキームと同様、従来の行政的諸規定や法規の不完全部分を充足・改善することが期待される。ただし、これらのコードは森林施業計画とは直接リンクしていないので、中長期的な資源計画や森林管理、すなわち、持続収穫量の確保、生物多様性の保全、土壌・生態系モニタリング等については問題が残ることが指摘された。これらのことから、クロスモデルの構造として、「社会的規範と評価基準の優先性」を改善目標とするMSTCシステム技術の応用が類推された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)
第13回森林利用学会研究発表講演要旨集
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第17回日本森林学会大会学術講演集
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Proc. International Precision Forestry Symposium, Stellenbosch Univ., South Africa
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森林利用学会誌 20・4
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