研究課題/領域番号 |
18580148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
塚本 次郎 高知大学, 農学部, 助教授 (60253340)
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研究分担者 |
市栄 智明 高知大学, 農学部, 助教授 (80403872)
今安 清光 高知大学, 農学部, 技術専門職員 (70423465)
長井 宏賢 高知大学, 農学部, 技術職員 (90423467)
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キーワード | 遷移 / 暖温帯上部 / 常緑広葉樹二次林 / 落葉広葉樹二次林 / 食葉性昆虫 / 被食防衛 / 大型土壌動物 / 落葉分解 |
研究概要 |
本研究では、植生遷移の進行に伴う森林生態系の機能的変化を「樹木の葉の被食防衛が分解者系に及ぼす影響」の側面から記述することを目的として、同一斜面上で横並びに隣接する極相にやや近い常緑広葉樹二次林(EBF)と途中相の落葉広葉樹二次林(DBF)を調査地とし、2つの林分間で、生産者、消費者、分解者の質と量(葉の被食防衛の程度を含む)、及び、分解速度と分解様式を比較するための調査を行い、以下の結果を得た。 1.EBFの主要な生産者であるアカガシとDBFの主要な生産者であるコナラ、ヤマザクラ、アカシデの葉の質を調べた結果、総フェノール量・硬さともアカガシが最も高い値を示し、次にコナラが続き、アカシデとヤマザクラが同程度に低い値を示した。C/N率はアカガシで明らかに高く、他の3樹種間の差は大きくなかった。 2.樹木の葉の主要な消費者である鱗翅目幼虫の密度(単位葉面積当たり個体数)を活動最盛期である5月に調べた結果、アカシデにおける密度が極端に高く、ヤマザクラ>コナラ>アカガシの順に低下した。また、各樹種の樹冠下に落下する虫糞量を4月から11月まで調べた結果、期間を通じた合計値にはヤマザクラ>アカシデ>コナラ>アカガシの序列がみられた。 3.A_0層(堆積腐植層)における落葉落枝の消失速度の指標としてリター回転率(年リターフォール量/年平均A_0層量)を求めた結果、落葉の回転率にはDBF>EBF、枝、樹皮などの回転率にはEBF>DBFの関係が認められた。 4.分解者としての大型土壌動物の現存量を6月〜9月の期間に調べた結果、明らかにEBF>DBFの関係がみられ、その違いをもたらした最大の要因は土壌生息性のミミズであった。
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