・森林性野ネズミの生息数の推定:2007年4月から12月までの毎月と2008年3月に、4夜連続で111個の生け捕りわなを設置し、アカネズミとヒメネズミの放逐再捕調査を実施した結果、アカネズミ51個体とヒメネズミ34個体を新たに捕獲し、個体識別を施した後放逐した。秋のマテバシイの堅果落下時期から翌春まで調査地に生息し続けた個体はアカネズミ9個体、ヒメネズミ14個体であった。本年度のマテバシイの堅果生産が前年度に比べ多かった影響を受けて、野ネズミの冬期の生息数は前年度、前々年度より多かった。 ・種子の落下状況:調査地内では、平成19年度秋に10月から12月にかけて約32万個/haのマテバシイ堅果が落下し、シイナ率は17.0%、シギゾウムシにより食害されたものの割合は6.8%で、健全率は76.2%で、調査地内には1haあたり約24万個の健全な堅果が落下したと推定された。平成19年度は、マテバシイの堅果生産はやや豊作であったと結論づけられた。 ・地上からの堅果の消失:調査地内に設定した固定プロット内に263個の堅果が落下し、205個が健全であった。2008年3月末までに、全ての堅果が消失した。消失原因はタヌキなどの中型獣による摂食が5個、イノシシによる摂食が139個(不明分も含む)、原因不明が16個で、約40%の堅果が、野ネズミにより運搬されたと推測された。 ・野ネズミの貯食行動:小型発信機付き堅果40個が2-40mほど運搬され、地中15cmの巣穴内に貯食されていた2個を除き、地表や巣穴内で捕食されていた。
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