研究課題/領域番号 |
18580150
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
久保田 康裕 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (50295234)
|
研究分担者 |
榎木 勉 九州大学, 農学研究院, 助教授 (10305188)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (60312401)
|
キーワード | 環境変動 / 林学 / 生物圏現象 / 生態学 / 土壌学 |
研究概要 |
最近、北方林の生態系機能が変化し、生産量が時系列上で減衰することが一部の研究者の間で注目されている。北方林は重要な森林資源であり、陸上生態系における主要なCO2シンクである。したがって、北方林の生産量が減衰するメカニズムの解明は資源管理や環境問題の観点から緊急の課題である。 本研究において、我々は以下の仮説を設定し、そのメカニズムを統計モデルによって検証しようとしている。"北方林では、近年の環境変動に対応した撹乱体制(強度・頻度)の変化が土壌特性を変質させ、森林の更新・遷移過程に作用し、従来の潜在的極相林とは異なる代替的定常状態を創出し、森林の生産量衰退を引き起こす。"この仮説における重要な生態現象は"paludification"と呼ばれる土壌表層における滞水および未分解リターの蓄積である。"paludification"は土壌の理化学特性を変化させ、従来の植生遷移とは異なる代替的な定常状態を創出すると予想される。 今年度は、ニューファンドランドで研究打ち合わせの会議を行なった後、野外調査を行なった。上記仮説を検証するために、テラノバ国立公園において森林構造と土壌条件の2傾度のサンプリングデザインを設けた。この地域の北方林は、自然撹乱の強度・頻度に応じて、同齢針葉樹林、パッチ状針葉樹林、針葉樹散在のヒースへ至る衰退過程をたどると考えられる。この過程を時系列化するために、これら3タイプの林分に固定調査区を設定し、植生調査を行なった。また土壌の生産性の影響も考慮するため、土壌条件についても調査を行なった。 来年度はこれらの固定調査区において、森林の空間構造や土壌特性に関する補足調査を行い、論文のとりまとめを行なう。
|