1.ササ部分開花固定プロットにおける追跡調査および試料採取 2003年より部分開花を繰り返しているササ個体群の固定プロットについて追跡調査を行った。過去に開花した桿のうち、ほとんどのものは枯死に至ったが、一部生存している桿の存在が明らかになった。このことにより、必ずしも開花によってすべて枯死するとは限らない事実が明らかになった。 新たに開花が認められたオクヤマザサプロットについて、桿の位置およびバイオマスの測定を行った。そして、このプロットより、クローン分析用の試料として、各シュートから葉組織を採取した。また、種子を採取、播種して遺伝マーカーのスクリーニング用試料とした。 2.ササ属に有効な個体識別用遺伝マーカーの開発 室内実験により個体識別能力の高いマイクロサテライトマーカーの開発を行った。合計1032個のクローンのマイクロサテライト部位をクローニングしスクリーニングした結果、6個のプライマーペアを設計することができた。得られたプライマーペアの再現性チェックを行い、最適な増幅(PCR)条件の検討を行った。 3.開発した遺伝マーカーのスクリーニングおよび多型性のチェック ササ自然集団から、DNA分析用試料を採取し、2.で開発されたプライマーペアを用いて、各マイクロサテライト遺伝子座の解析を行った。その結果、6個のプライマーペアすべてについて安定的に増幅される遺伝子座が得られた。これらの遺伝子座を適用して、次年度からクローン構造の解析に着手する。
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