研究概要 |
森林生態系の中でササ属を制御していくためには、まずその繁殖生態を明らかにする必要がある。しかし、ササ属の特徴である地下茎による栄養繁殖の範囲や動態に関しては未解明の部分が多く、ササ属の開花メカニズムについては,生物学的に未解明なままである。また、ササ属の特徴である地下茎による栄養繁殖の範囲や動態に関しても,研究手法上の制約から未解明であり、一斉開花あるいは部分開花現象に関して開花の単位が個体性なのか集団性なのかといった、集団の遺伝的動態に関する問題点は未だ明らかにされていない。 本計画ではササの部分開花と遺伝構造に着目して研究を進めた結果、以下の成果が得られた。 1)オクヤマザサの部分開花パッチにおける開花の有無は稈サイズに依存している可能性が明らかになった。 2)ササ属における初めてのマイクロサテライトマーカーの開発に成功した。 3)オクヤマザサ部分開花パッチのクローン分析を行い,開花の単位が遺伝的要因のみで決定しているわけではないことが明らかになった。 4)オクヤマザサの種子の採取を行い,繁殖構造に関する研究材料を得ることができた。この種子を使用してササ属の交配様式を探る研究を展開することが可能になった。
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