研究課題/領域番号 |
18580159
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 勉 北見工業大学, 工学部, 教授 (20125389)
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研究分担者 |
岡崎 文保 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10213927)
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70261401)
齋藤 幸恵 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (30301120)
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キーワード | バイオマス / 触媒炭化 / 機能性ナノ炭素 / 導電性フィラー / メソ孔 / 電気二重層キャパシタ |
研究概要 |
木材のニッケルもしくは鉄を用いる900℃前後の触媒炭化は、導電性で高分子物質の液相吸着能を有する二元機能炭素(結晶性メソ孔炭素)の製造に重点をおいているが、流体燃料の高品質化(軽質タールと水素リッチガスの併産)にも効果的であり、バイオマスのマテリアル+エネルギー同時転換法として有望であることを実証した。また、針葉樹の850℃鉄触媒炭化は900℃ニッケル触媒炭化より、得られる結晶性メソ孔炭素の機能、性能の点で優ることを証明した。さらに、粉砕・酸洗浄という後処理を適正条件で実施すると、導電性、高分子液相吸着能が向上すること、針葉樹に比べて細胞組織がより緻密な広葉樹は結晶性メソ孔炭素製造用原料としてより適当であることなど炭素の結晶性や細孔構造の変化を調べて明らかにした。 針葉樹由来の850℃鉄触媒炭化炭(Fe炭)の電気二重層キャパシタ(EDLC)性能は粉砕-酸洗浄後でも低く(電解液1M TEABF_4, 電流密度1-20mA/cm^2で3-4F/g)、この主因はBET表面積が小さい(220m^2/g)ためである。そこで800℃前後の水蒸気賦活、KOH賦活を行ったが、BET表面積は効果的に増加しなかった。これは結晶化が進行し過ぎた炭素マトリックスが堅固なためと考えられる。そこで500℃でFe炭を調製し、これを800℃でKOH賦活したところBET表面積がおよそ1600m^2/gに増大して性能は約30F/gに達した。この値はまだ不満足であるが、電解液として1M H_2SO_4を用いると45F/gに増加し、実用レベルに相当近づいた。このことは低温で調製した非晶質Fe炭を適正条件でKOH賦活することで硫酸を電解液とする実用EDLC炭素の製造が有望であることを示している。
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