研究概要 |
プレーナー屑を再資源化した木質小片断熱材に関して、(1)蓄熱性に起因する保温効果、(2)施工時の事故的な防湿層破損に伴う内部結露の発生の有無、(3)火災時の燃焼挙動の把握(防火性能)、などの性能検証が研究内容である。平成18年度は、(1)の一部および(3)に関して実験と解析を行い、下記の知見を得た。 保温効果:東西に4畳半大の2室と中央に計測室を持つ実験ハウス(平屋建て17m^2)を使用した。1室が木質小片断熱材で他室がグラスウールで断熱施工され、両室の熱抵抗は同一、かつ隙間相当係数を3.5cm2/m^2に統一した。外気温が-5℃程度となる2月下旬に夜間暖房停止後の室温降下を測定した結果、木質小片断熱材を施工した部屋の室温はグラスウール施工の部屋よりも2℃程度高く保持された。これは蓄熱効果の現れであるが、現在、熱流データおよび暖房電力消費データを用いた解析を進めている。 防火性能:木質小片断熱材は被覆材,小片ともに可燃性であり、開発当初より防火性が懸念されてきた。そこで、まず、厚さ50mm×200mm×200mmの小型試験体に対して、JISA1321に規定された表面燃焼試験機による加熱試験(ISO834の加熱曲線に準拠)を行なった。断熱材に石膏ボード(厚さ12.5mm)を介して加熱した場合、加熱30分後の非加熱面温度は80℃程度であり、対照とするグラスウール(密度16kg/m^3,厚さ50mm)の非加熱面温度158℃よりも著しく低くなった。遮熱効果の発現は、炭化層の形成に加え、フィルム被覆による燃焼生成水分の断熱材内部残存(蒸発潜熱消費)に起因した。続いて、実大厚さのモデル壁体(1.2m×1.2m、窯業系12mm外装材+断熱材100mm+石膏ボード9.5mm)を用いてISO834に準拠した加熱試験を行った結果、小型試験と同様の遮熱効果が検証された。グラスウール(16k)充填のモデル壁体では、耐火30分の防火構造にしか相当しないが、木質断熱材を充填することで耐火45分の準耐火構造となる可能性が示唆された。
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