研究概要 |
本研究では、ダイオキシン分解菌(一種の白色腐朽菌)及びその菌からの粗酵素により調製した微生物製剤及び酵素製剤を用いて、ダイオキシン類、環境ホルモンに汚染された土壌、焼却灰の浄化法の開発ついて検討した。また、分解菌を用いる効率的な浄化法についても検討した。 1.微生物製剤の調製:数種の担体(ゼオライトなど3種)に分解菌を担持させた微生物製剤及び製剤を固定化した固定化微生物製剤を調製した。これら製剤を用いるダイオキシン類(2,4,8-TCDF,2,8-DCDD)汚染土壌の浄化法を開発した(浄化率25〜65%、30〜45日処理)。また、浄化に及ぼす製剤の添加量、施用方法、菌糸蔓延速度、栄養源の添加量、包括の有無等の影響も明らかにした。 2.酵奉製剤の調製:粗酵素及び酵素賦活化剤等を各々ゲル包括固定化した酵素製剤を調製した。また、酵素の安定化に及ぼす賦活化剤等の影響を明らかにした。 3.製剤を用いる浄化法:酵素製剤を分解剤とするバイオリアクター浄化法を開発し、ダイオキシン汚染土壌(TCB)を短時間で浄化した(72時間処理、27%分解)。また、粗酵素を分解剤として用いる浄化法も開発し、ダイオキシン汚染土壌(2,4,8-TCDF)を浄化した(72時間処理、約20%分解)。さらに、分解菌を用いたバイオレメデイエーションによる焼却灰浄化法を開発した(15日処理、約20%分解)。しかし、粗酵素や酵素製剤を用いる浄化法では焼却灰の高pHなどのため、浄化は殆ど進まなかった。また、酵素製剤を用いるダイオキシン類(TCB)、環境ホルモン(DDT)汚染土壌浄化法を見出した(15日処理、約10〜25%)。開発した方法は分解率が低いことや浄化日数が長いことなどの欠点があるので、分解率の向上や浄化日数の短縮が課題と考えられる。
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