研究課題
基盤研究(C)
細菌等の異物を包囲し凝集するClottingタンパク質(CP)およびCPを活性化するトランスグルタミナーゼ(TGase)をRNA干渉によりノックダウンした。クルマエビの遺伝子発現ノックダウンに必要なdsRNA量を決定するために10μg、1μgおよび0.1μgのdsRNAをクルマエビの体液中に接種した。接種後、1日および1週間後に血球細胞、鯉、筋肉、リンパ様器官および肝膵臓からmRNAを抽出し、RT-PCRにより、遺伝子ノックダウンの有無を確認した。さらに、TGaseおよびCPに対する抗体を作製し、RNA干渉によるこれら2種類のタンパク質の発現抑制も確認した。本実験により遺伝子ノックダウンに必要なdsRNAは1μgであった。両遺伝子のうちいずれかをノックダウンすることにより血液凝集が抑制されることを明らかにした。さらに、CPあるいはTGase遺伝子のいずれかの発現を抑制するといくつかの生体防御関連遺伝子の発現も抑制されたことから、血液凝集と生体防御関連遺伝子の発現制御に密接な関係があることが明らかになった。CPのクルマエビにおける生体防御システムにおける必要性を確認した。クルマエビにCPあるいはGFPのdsRNAを接種し、一定期間後にクルマエビの病原細菌であるVibrio penaeicidaの感染実験を行ったところ、クルマエビの本菌に対する感受性が高まったことから、生体防御に重要であることが示唆された。血球凝集とは異なる自然免疫因子であるプロフェノールオキシダーゼ遺伝子をノックダウンするとクルマエビが死ぬことより、プロフェノールオキシダーゼはクルマエビの生存に重要な分子であることが示唆された。本研究によりクルマエビの免疫・生体防御システムは、何らかのネットワークを形成し、病原微生物の侵入に対応していることが示唆された。
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