研究概要 |
研究を始めるにあたって,農業機械学会関東支部第42回年次大会で,以下のタイトルで研究計画を発表し,参加者の意見を聞いた。 下保敏和・大塚泰介・酒井悟:顕微鏡写真を用いた画像処理による珪藻同定のための基礎研究 検索システムの基礎となる珪藻の写真を得るために,石手川(愛媛県),琵琶湖および内湖(滋賀県),八雲ヶ原湿原(滋賀県)の珪藻について,計5,000枚あまりの写真を撮影し,同定・整理した。琵琶湖博物館が受贈した珪藻試料のうち検討も進めている。その過程で2種のGomphospheniaおよび2種のNaviculaが新種であることが判明したため,それぞれ新種記載論文を作成中である。また,石手川の珪藻については,既に植生報告を執筆済みであり,近日中に論文として投稿する予定である。 琵琶湖博物館に収蔵された珪藻写真の整理を進め,同定を概ね完了した。これに基づいて,代表者がインターネット上で公開している「珪藻電子図鑑」の写真を再整理した。しかし年度内に完了する予定だった,同定基準データベースに用いることができる「状態の良い」写真の選択については,期間中に終えることができなかった。 珪藻の輪郭を抽出するプログラムを作成した。しかし,輪郭の一部がぼやけた写真や周囲にゴミのある写真については,正しく輪郭を抽出できないことがあるため,実用化に向けて改良中である。 研究の基礎となる珪藻写真の整理と輪郭抽出のためのプログラム作成が予定より遅れているため,その後の研究も予定通り進展しなかった。この遅れを取り戻すことが2007年度の最大の課題である。
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