研究課題
一昨年度クローニングした二種類のクロマグロのTNFの遺伝子に対する組み換え体を作製した。魚類のTNFの遺伝子組み換え体は大腸菌で発現させると、多くの場合(ニジマス、アユ)不溶性タンパク質を作る事を経験してきた。そこで、これまで、アユのTNFの遺伝子発現体の作製で可溶性タンパク質形成の作製に成功した系を導入することとした。これは、シャペロンタンパク(トリガーファクター)質との融合タンパク質(Hisタグ付き)として発現させるもので、さらに、低温下でプロモーターが起動するストレス発現ベクター(pColdベクター)に組み込んだ。これを大腸菌(BL21)に導入し、低温下でタンパク質発現させたところ、全大腸菌可溶性タンパク質の50%程度が融合蛋白質として得られた。大腸菌のホモジネイトを調製し、これをニッケルセファロースカラムでHisタグタンパク質を精製した。これをFactor Xaプロテアーゼで切断して成熟型組み換えクロマグロTNFを得た。組み換え型TNFの発現量は少ないため、20アミノ酸からなるペプチドを合成し、これをウサギに免疫して抗体を作製した。この抗体を用いて、組替タンパク質をウエスタンブロッティングで結合することが確認できた。しかし、末梢血白血球をLPSなどの活性化剤で刺激した後に、産生細胞を蛍光顕微鏡で評価したが、抗体都の反応性は見られなかった。クロマグロの稚魚から幼魚、成魚のサンプル(頭腎や末梢血)を採取し、サンプルから全RNAを抽出し、one-step real-time PCRにより、両TNFの遺伝子発現量を測定したところ、成長過程に伴い両TNFの発現量が増加する傾向が認められた。TNF1はTNF2よりも常に発現量が高かったが、TNF2は二歳魚になるとともにTNF1と同等の発現量まで増加することが見いだされた。
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Fish & Shellfish Immunology (in press, Pubmed 2008, 12. 31)