研究概要 |
1.平成18年度に引き続いて,魚種間の交差性情報の充実をはかった。産業的に重要なシロザケ卵(イクラ)と,他のサケ科魚卵間のアレルゲン交差性を,イクラアレルギー患者血清の特異IgE反応性を用いて検討したところ,2種類のイワナ属(アメマス,オショロコマ)の成熟卵においても,シロザケ卵と同様のIgE反応を示すタンパク質成分(β'コンポーネント(β'-C))を見いだした。また,リポビテリン軽鎖についても特異IgE反応の交差性が見られた。 2.シロザケのβ'-c(分子量16K成分)を酵素分解し,得られたペプチドのアミノ酸配列を決定した。ニジマス・ビテロジェニン遺伝子からの演繹アミノ酸配列を鋳型として構造解析をおこなったところ,92残基(全体の約60%)の配列を確定することができた。このうちニジマスVgの内部配列との相違は7カ所であった。 3.アミノ酸配列分析と並行してシロサケ肝臓からmRNAを抽出し,ニジマス・ビテロジェニンの塩基配列を基にプライマーを作製してPCRをおこない,シロザケのβ'-cをコードするcDNAを得た。本cDNAから演繹されたアミノ酸配列は,上述したペプチドマッピングの結果とよく一致し,ニジマス・β'-cの配列と高い相同性を示した。2)と3)の結果を合わせることで,シロザケのβ'-cのほとんどのアミノ酸配列を決定できた。 4.平成18年度に見いだしたスケトウダラ卵(タラコ)中のβ'-c(分子量17K)のアミノ酸配列をペプチドマッピングによって検討した。大西洋タラVgの内部配列を鋳型にして配列決定したところ,102残基(全体の約70%)の配列を確定することができた。
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