・脂肪分解促進因子として分子量約1万の糖タンパク質の単離に成功した。このタンパク質のN末端アミノ酸配列分析から新規タンパク質であることをあきらかにするとともに、生理活性を示す領域が糖鎖に存在することを示した。 ・貝殻粉末を含む餌を食餌させることによって白色脂肪組織中の脱共役タンパク質1(UCP1)の発現量が顕著に上昇していることを見出した。UCP1の発現量の上昇は脂肪分解促進に働くことが数多く報告されていることから、貝殻粉末を食餌させることによって、生体内の脂質代謝系が活性化されていることが明らかになった。この結果は、ホタテガイ貝殻粉末は、オリゴ糖のように脂肪を生体内に吸収させるのを抑制することによって脂肪重量を減少させるのではなく、脂質代謝系の亢進を介して脂肪分解を促進させていることを示唆した。 ・脂肪細胞に分化することが知られている3T3-L1細胞を用い分化に伴い発現量が増加する脂肪酸結合タンパク質AP2のmRNA発現量の変化を貝殻抽出成分の存在下、非存在下で検討した。その結果、貝殻抽出成分は培養脂肪細胞の分化を抑制することが明らかになった。 本研究成果は、従来報告されている脂肪分解促進因子とは異なる作用機構によって働いていることを示唆しており、健康食品としての利用可能性を示す重要な結果と考えられる。
|