研究課題
基盤研究(C)
シャットネラは単細胞藻類で、日本近海で発生する代表的赤潮原因プランクトンである。世界的にもシャットネラ赤潮は頻発しており、地球温暖化に伴い、その頻度及び発生海域は拡大しつつある。我が国においては、特にブリ養殖に対して、また、オーストラリアではマグロ養殖に対して大きな被害が報告されており、その被害総額は数十億円に達する場合もある。シャットネラの魚毒性発現には生きたシャットネラ細胞と魚類との直接接触が必須であると推定される。この様な点を考慮すると、有機溶媒等を用いて抽出されうる比較的安定な毒性物質を介した毒性発現機構は考えにくく、活性酸素の様な生きた細胞の代謝過程で産生される生物毒性因子の関与が強く推定される。そこで、シャットネラ生細胞を対象として、詳細な生化学的解析を行ったところ、シャットネラは通常の培養条件下で、一酸化窒素を産生している可能性を示す実験結果が得られた。一酸化窒素はヒトをはじめとする哺乳類の生体内で産生されるガス状の生理活性物質で、血管内皮細胞から放出される血管内皮由来拡張因子が一酸化窒素そのものであるとの発見の他、炎症反応時におけるマクロファージや神経活動に伴う小脳からの分泌が発見され、多様な生理作用を有する物質として多くの注目を集めている。また、一酸化窒素は生体に対して毒性や傷害を引き起こすとの多くの報告もある。最近、哺乳類に加え、高等植物においても一酸化窒素が産生される反応系が見出されており、細菌感染に対する防御機構に深く関与しているとの報告もある。従って、シャットネラからの一酸化窒素産生は、シャットネラの魚毒性発現に深く関与している可能性が示唆された。また、シャットネラからの一酸化窒素産生には、一酸化窒素合成酵素が関与している可能性が示唆された。
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