研究課題
基盤研究(C)
一般的に、魚肉のテクスチャーはコラーゲン含量に大きく依存するが、コラーゲン線維そのものの物理的強度は分子間に形成される架橋構造により高められていると考えられている。哺乳類ではコラーゲン分子間架橋形成の初発反応であるリジンおよびヒドロキシリジンの酸化反応を触媒するリジルオキシダーゼ(LOX)が知られている。しかし、魚類ではLOXおよびコラーゲン分子間の架橋形成機構はほとんど不明である。そこで、他の魚類に比べて特異な肉質を持つトラフグを用いて、コラーゲン分子間架橋形成の機構および肉質への関与を解明するため、LOXの基礎的知見を得ることを目的として研究を行った。トラフグゲノムデータベースに対してニワトリLOXの塩基配列およびアミノ酸配列をBlast searchに供し、相同性の高い遺伝子を9つ確認した。その中のある塩基配列をもとに遺伝子特異的プライマーを設計し、トラフグ背鰭および心臓より調製した全RNAを用いてcDNAクローニングを行った。さらにトラフグ初期胚発生過程におけるLOXの発現解析をWhole mount in situ hybridization(WISH)により行った。得られたLOX cDNAは全長1059bpを示し、226アミノ酸残基をコードしていた。得られたLOXには、LOXファミリーに高度に保存された銅結合ドメインおよびサイトカインレセプター様ドメインを含み、カルボニル補因子であるリジルテロシルキノンの形成に関与するとされるリジン残基およびチロシン残基も認められた。このLOX演繹アミノ酸配列はヒト、マウスおよびゼブラフィッシュLOXとそれぞれ68%、69%、67%の相同性を示した。WISHによる発現解析の結果、いずれのステージにおいてもシグナルを検出することはできなかった。現在トラフグ成魚16組織におけるLOXの発現を、ノーザンブロット分析により解析中である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
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